よし、2624、正式に校了です。😄
ラス前から、本文中の研究リンクを外して末尾に集約。2617も「あわせて読みたい」から外しました。研究リンクも再確認済みです。PubMed
「先生、甘いもん食べたらええねん!」子供の一言から考えた脳と糖の関係
夏の厳しい暑さが続いていたある日。
教室から教室へ移動し、3教室目の授業が始まる前、ちょっと子供たちに甘えて、こんなことを言いました。
「今日は先生、ちょっとお疲れ気味やから、みんなエエ子で授業受けてな」
すると、一人の子がすかさず言いました。
「先生、甘いもん食べたらええねん!」
私は「ほんまかぁ?」と返し、にぎやかにその日の授業が始まりました。
「疲れたときには甘いもの」。昔からよく聞く話です。
そういえば、「脳のエネルギー源はブドウ糖」という話もよく耳にします。
だったら、疲れたときに甘いものを食べるのは、脳へのエネルギー補給になるのでしょうか。
子供の一言がちょっと気になって、調べてみました。
脳にとってブドウ糖は大切
まず、「脳にはブドウ糖が必要」という話。
これは、その通りです。
脳は、体の中でも多くのエネルギーを使う器官です。通常の状態では、ブドウ糖が脳の主要なエネルギー源として使われています。
神経細胞が情報をやり取りするにも、さまざまな働きを維持するにもエネルギーが必要です。脳とブドウ糖の関係をまとめた研究でも、ブドウ糖の代謝が脳の働きを支える重要な仕組みであることが示されています。
では、そのブドウ糖は、どうやって脳へ届くのでしょう。
ブドウ糖は、血液に乗って脳へ運ばれる
ご飯やパン、麺などに含まれる炭水化物は、消化されてブドウ糖となり、吸収されます。
そして、ブドウ糖は血液によって体の各部へ運ばれます。
脳にも血管が張り巡らされていて、ブドウ糖は血液から脳へ取り込まれます。詳しく見ると、血液と脳の間には「血液脳関門」という仕組みがあり、ブドウ糖は輸送を担うたんぱく質などの働きによって脳内へ運ばれています。
ここまで調べて、私にも一つ腑に落ちたことがありました。
脳は、甘いものを食べたときだけブドウ糖を受け取っているわけではない。
普段の食事から得たブドウ糖が血液によって運ばれ、脳でも利用されているのです。
そうなると、
「脳にはブドウ糖が必要」
と、
「疲れたら甘いものを食べればいい」
は、分けて考えた方がよさそうです。
「脳にはブドウ糖」と「疲れたら甘いもの」は同じ話ではない
甘いものに含まれる糖質も、もちろんエネルギー源として利用されます。
でも、ご飯やパンなどの炭水化物も、消化・吸収されてブドウ糖として利用されます。
ですから、
「脳はブドウ糖を使う」
↓
「甘いものを食べる」
↓
「脳に糖が補給される」
↓
「疲れた脳が元気になる」
と、一直線に結び付けるのは少々乱暴です。
脳にとってブドウ糖が大切であることと、疲れを感じたときにチョコレートやキャンディーを食べれば頭が元気になるということは、同じ話ではありません。
調べ始める前は、もっと単純な話だと思っていました。
脳はブドウ糖を必要としている。でも、だからといって「疲れたら甘いもの」とはならない。
この二つを分けて考えるだけでも、「脳には糖が必要」という言葉の見え方が少し変わりました。
「先生、甘いもん食べたらええねん!」
さて、あの日の教室に戻ります。
「今日は先生、ちょっとお疲れ気味やから、みんなエエ子で授業受けてな」
そう言った私に、すかさず返ってきた、
「先生、甘いもん食べたらええねん!」
脳とブドウ糖について調べてみると、「脳にはブドウ糖が必要」ということと、「疲れたら甘いものを食べればいい」ということは、同じではありませんでした。
でも、あの日の教室では、そんなことより大切なことが一つありました。
「先生、甘いもん食べたらええねん!」
彼の優しい労いの言葉の方が、甘いもんよりずっとずっと私を元気にしてくれたことは間違いありません。
この記事を書くにあたって参考にした研究・資料
Mergenthaler P, Lindauer U, Dienel GA, Meisel A
Sugar for the brain: the role of glucose in physiological and pathological brain function.
Trends in Neurosciences, 2013.
→ PubMed
Dienel GA
Brain Glucose Metabolism: Integration of Energetics with Function.
Physiological Reviews, 2019.
→ PubMed


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