「どこがおもしろいん?」から考える、子供の好奇心を育てる親の役割

子供・教育

まず20秒ほどの動画をご覧ください。

「どこがおもしろいん?」

その一言が、ずっと私の心に残りました。

ロボット教室の体験会での出来事です。

会場には、スイッチを入れるとゆっくり上へ登っていく「ロボベーター」というロボットを展示していました。

仕組みは簡単なのですが、初めて見る人は大人でも「えっ? どうなってるの?」と思わず見入ってしまいます。

子供たちも、

「なんで上がるの?」「すごーい!」

と目を輝かせていました。

そんな中、一人の小学低学年の男の子が言いました。

「どこがおもしろいん?」

同じロボットを見て、「なんで上がるの?」と目を輝かせる子もいる。一方で、おもしろさを感じない子もいる。

あの一言は、子供の好奇心について改めて考えるきっかけになりました。

好奇心は、みんな同じではない

「子供は何にでも興味を持つ」と思われがちですが、そんなことはありません。

初めて見るものにすぐ近づいていく子もいれば、あまり関心を示さない子もいます。「これ、どうなってるん?」と質問する子もいれば、こちらから声をかけて初めて見る子もいます。

もともとの気質や興味の違いもあるでしょうし、それまでに何を見て、何を経験してきたかによっても違います。

だから、「好奇心のある子、ない子」と簡単に分けることはできません。

あの「どこがおもしろいん?」と言った男の子も、別のものには強く興味を示したかもしれません。実際、体験会用のロボット作りには楽しそうに取り組んでいました。

ただ、あの一言から、ウチの頭脳開発教室で保護者の方に何度も話してきたことを思い出しました。

私が親御さんに伝えてきた「ほらっ!」

ウチの頭脳開発教室では、保護者の方との個別懇談で、お子さんの今の様子をお話しし、これからどんなところを伸ばしていきたいか、そのために家庭でどんなことができるかを具体的にお伝えしてきました。

好奇心の幅をもう少し広げていきたいお子さんなら、その一つが、

「ほらっ!」です。

「ほら、見てごらん」「ほら、○○だよ」「ほら、不思議だね」「ほら、一緒にやってみよう」

大人が面白いと思ったもの、きれいだと感じたもの、不思議に思ったものへ、子供の目をちょっと向けてあげる。

そして、こんなことも付け加えていました。

「でも、お母さんが『ほらっ!』と言って、子供が振り返るのは100回に1回くらいですよ」

もちろん、100回に1回という数字を調べたわけではありません。私なりの、やや大げさな表現です(笑。

この言葉には、もう一つ意味があります。

子供が振り返らなくても、がっかりしないでください。すぐに諦めないでください。

毎回、子供が食いついてくるわけではありません。むしろ、「ふーん」で終わることの方が多いと感じます。

それでも、ときどき「なに?」と振り返ってくれる。

私に言わせれば、ちょっとした奇跡です。

その奇跡を一緒に喜んだらいい。

そして、また次の「ほらっ!」です。

大人が好奇心を「注入」するわけではない

では、大人が「ほらっ!」と言い続ければ、子供に好奇心を植えつけられるのでしょうか。

そういうことでもありません。

幼い子供は、自分から周囲を探索します。言葉を使えるようになると、「なに?」「なんで?」と質問し、自分に足りない情報を集めようとします。

子供の質問を詳しく調べた研究では、幼児は自分が必要とする情報を得るために質問し、十分な答えが得られなければ、さらに質問を続けることも報告されています。PubMed

つまり、子供にはもともと、自分から知ろうとする力があります。

では、大人には何ができるのか。

私は、子供がまだ気づいていないものへ目を向けるきっかけをつくることだと思っています。

「ほら、見て」

その一言で終わってもいい。

振り返らなくてもいい。

でも、ときには、

「なに?」

と返ってくる。

そこから一緒に見たり、触ったり、「なんでやろな」と考えたりする。

親が子供の様子や力に合わせて関わり方を調整しながら、やがて自分でできるように学びを支えることは、「足場かけ(scaffolding)」の研究でも長く扱われてきました。DOI

「ほらっ!」も、子供を無理にこちらへ引っ張る言葉ではなく、そんなやり取りを始める小さなきっかけなのだと思います。

「なんで?」を練習することにも意味がありそう

最近の研究には、さらに面白いものがあります。

2026年に掲載された研究では、5〜7歳の子供103人を、「質問する」ことを促すグループと、「よく聞く」ことを促すグループに分け、2週間に8回の科学の個別レッスンを行いました。

その結果、質問する練習をした子供たちは、新しい科学情報をより価値のあるものとして評価しました。なお、新しい質問をする回数や粘り強さなど、すべての指標で差が出たわけではありません。Nature

それでも、「質問する」という行為そのものを練習することで、好奇心や学びの一部に変化が起こり得るという結果は面白いと思います。

「なんで?」

「どうなってるの?」

そんな問いが出てきたとき、大人がすぐに正解を教える必要もないでしょう。

「ほんまやな。なんでやろ?」

と一緒に見てみる。

私が親御さんに伝えてきた「ほらっ!」も、その入口だったのかもしれません。

※「なんで?」と問いを持つことは大切です。一方で、私は教室で「すぐ先生に聞いたらあかんで」とも言っていました。自分で調べて「分かった!」にたどり着く経験については、こちらの記事で書いています。 ▶関連記事:この木花、なんていう名前?- 世界が広がる瞬間1st -

「ほらっ!」の先にあるもの

ロボベーターを見て、

「なんで上がるの?」

と目を輝かせた子がいました。

同じものを見て、

「どこがおもしろいん?」

と言った子もいました。

子供によって、興味を持つものは違います。同じ子でも、それまでの経験によって、目に留まるものは変わってくるでしょう。

だからこそ、子供たちの周りにいる大人には、いろいろなものを面白がっていてほしいと思います。

道端に変な虫がいた。

空に大きな雲が浮かんでいた。

機械が不思議な動きをしていた。

知らない国の名前を聞いた。

そんなとき、大人自身が、

「なんや、これ?」

「おもしろいやん」

と思える。

そして、子供にも、

「ほらっ!」

と声をかける。

反応がなければ、それでおしまい。

また別の日に、別の「ほらっ!」です。

そうやって、子供がいろいろなものを見る入口を増やしていけばいいのだと思います。

まとめ

私は今でも、親御さんにこう言いたくなります。

「ほらっ!」

子供は振り返らないかもしれません。

「ふーん」で終わるかもしれません。

100回に1回というのは、もちろん私の大げさな表現です。

でも、それで親御さんが、

「振り返らなくても当たり前。じゃあ、また今度」

と思えたら、それでいい。

そして、ある日、

「なに?」

「なんで?」

「やってみたい!」

と返ってきたら、そのときは一緒に喜んだらいい。

大人が子供に好奇心を注入するのではありません。

大人自身が世界を面白がって、子供がまだ知らない世界への入口を、ときどき見せてあげる。

「ほらっ!」

「ほらっ!」

「ほらっ!」

何度言っても、振り返らないかもしれません。

それでも、子供の好奇心を育てる「ほら吹き」なら、大歓迎です。

これからも私は、懲りずに「ほらっ!」と言い続けようと思います。

この記事を書くにあたって参考にした研究・資料

Chouinard MM
Children’s questions: a mechanism for cognitive development.
Monographs of the Society for Research in Child Development, 2007.
→ PubMed

Mermelshtine R
Parent-child learning interactions: A review of the literature on scaffolding.
British Journal of Educational Psychology, 2017.
→ PubMed

Park AT, Colantonio J, Delgado Reyes L, et al.
Question asking practice fosters aspects of curiosity in science content in young children.
npj Science of Learning, 2026.
→ Nature


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