夏の夜。
帰宅途中、何気なく夜空を見上げました。西の空には、細い三日月。なんとなく、そのまましばらく空を眺めていました。
最初は、月しか見えません。
でも、しばらくすると、さっきまで気づかなかった星が一つ、また一つと見えてきました。
夜空は何も変わっていません。
変わったのは、私の目です。
星は増えたのではなく、見えるようになった
後日、プラネタリウムの館員さんから、こんな話を聞きました。
「星座は見えない、わからない、おもしろくない」
そんな声を耳にすることが少なくないそうです。
明るいところから暗いところへ移ると、最初はよく見えなくても、しばらくすると目が暗さに慣れ、暗いところでも少しずつ見えるようになります。「暗順応」と呼ばれる現象です。
夜空でも、しばらく眺めているうちに、それまで気づかなかった星を見つけやすくなります。
あの日の私も、一つ星が見え始めると、
「あれは何という星だろう」
「あっちにも明るい星がある」
と、それまで気にも留めなかった夜空が、急におもしろくなってきました。
見えるものが増えると、知りたいことも増える。
そんなことに気づきました。
「見えない、わからない、おもしろくない」の前に
プラネタリウムの館員さんから聞いた、
「星座は見えない、わからない、おもしろくない」
という言葉が、少し気になりました。
「見えないから、おもしろくない」
と決めてしまうのは、ちょっともったいない。
ほんの少し立ち止まって見ていると、さっきまで見えなかった星が見えてくることがあります。一つ見つかると、「もう一つ探してみよう」と思うこともあります。
これは、星だけの話ではないような気がします。
知らなかった木の名前を一つ知ると、それまで背景だった木が気になる。
知らなかった国の名前を一つ知ると、ニュースでその国名を見たときに目が止まる。
一つ見えるようになると、その向こう側に、また知らないものが見えてくる。
好奇心は、「ちょっと見てみる」「一つ知ってみる」という小さなきっかけから始まることもあります。
教室でも、子供たちに何かを無理におもしろがらせるのではなく、その入口をつくることは大切にしてきました。
「ほらっ!」
と声をかけて、今まで見ていなかったものへ目を向けるきっかけをつくる。
この「ほらっ!」については、こちらの記事で詳しく書いています。
▶関連記事: 「どこがおもしろいん?」から考える、子供の好奇心を育てる親の役割
この夏、少しだけ夜空を見上げてみる
夏休みには、夜、屋外にいる機会もあるでしょう。キャンプへ行かなくてもかまいません。
少しだけ立ち止まって、夜空を眺めてみる。
すぐに星座が見つからなくてもいい。星の名前を知らなくてもいい。
しばらく眺めていると、それまで気づかなかった星が一つ、また一つと見えてくるかもしれません。
夜空は変わっていません。
変わるのは、私たちの見え方です。
そして、一つ見つけたら、
「あれ、何やろ?」
と興味がわくかもしれません。
そこから調べるのもいい。誰かに聞くのもいい。そのまま眺めているだけでもいい。
知らなかったものに少し気づけば、昨日までと同じ夜空が、ほんの少し違って見えます。
この夏、そんな「へぇ!」が一つ見つかったら、それだけでも十分ではないでしょうか。
あわせて読みたい
・「どこがおもしろいん?」から考える、子供の好奇心を育てる親の役割
・「カーボベルデってどこ?」から世界が広がった|大人の「へぇ〜」は好奇心の入口


コメント