骨にかかる力学的な負荷です。
片足立ちでは、体重を片脚で支えます。
一方、歩いているときは、左右の脚が交互に体重を支えています。
研究者は、その違いに着目して計算したわけです。
ですから、
片足立ち1分=53分歩いたのと同じ健康効果
という意味ではありません。
消費カロリーも、心肺機能への刺激も、筋肉の使い方も違います。
そもそも、骨に力がかかったからといって、その分だけ骨が強くなるとは限りません。
では、実際に片足立ちを続けると、骨は強くなるのでしょうか。
実際に片足立ちを続けた人たちは?
2010年、阪本氏らは60歳以上の人を対象に、片足立ち運動の効果を調べました。
片足立ちを1回1分、1日3回行う運動です。
6か月後、腰椎や大腿骨近位部の骨密度を比較しました。
ところが、骨密度の変化について、全体として明確な群間差は確認されませんでした。
一部の解析では違いが見られましたが、片足立ちをすれば誰でも骨密度が増える、と言える結果ではありません。
ちょっと残念。
でも、ここで片足立ちを見限るのは早そうです。
骨を強くすることとは別に、もう一つ大切な働きがあるからです。
片足立ちのもう一つの価値は、バランス能力
年齢を重ねると、筋力だけでなく、身体のバランスを保つ能力も気になります。
片足で立つには、足首や股関節、体幹などが協調して働く必要があります。
実際、高齢者を対象とした研究をまとめたコクランレビューでは、バランス訓練や日常動作に関係する運動を含むプログラムが、転倒を減らすことが示されています。
ただし、ここも注意が必要です。
研究で効果が確認されているのは、さまざまな運動を組み合わせたプログラムなどです。
片足立ちを1日1分するだけで、転倒が何%減ると証明されたわけではありません。
それでも、筋力だけでなくバランス能力にも目を向ける価値はありそうです。
退屈だから、キックしてみた
実は私も、片足立ちを試しました。
でも、ただ立っているだけでは退屈。
浮かせた脚でキックしてみたり、軸脚のかかとを上げてみたり。
じっとしているより、動かしたくなるんです(笑)。
残念ながら、何となく効果を実感できず、習慣にはなっていません。
今回調べてみると、キックを加えれば重心が動き、かかとを上げればふくらはぎの筋肉も積極的に使うことになります。
ただし、運動が難しくなることと、健康効果が高まることは同じではありません。
特に片脚でかかとを上げる動作は、バランスを崩しやすくなります。
片足立ちを試すなら、まずは丈夫な机などに手を添え、安全に行うことが大切です。無理に1分間続ける必要もありません。
さて、私のスクワットに片足立ちは必要か?
毎朝のスクワットは、すっかり習慣になっています。
コーヒーを淹れる2分間に、「おいしくなあれ」と念を送りながら、しゃがんでは立つ。
スクワットは、太ももやお尻などの筋肉を使う運動です。
一方、片足立ちは、片脚で姿勢を安定させることが中心になります。
つまり、似ているようで狙いが違います。
スクワットをしているから、片足立ちは必要ない。
そう簡単には言えないようです。
もちろん、片足立ちだけですべての運動を補えるわけでもありません。
筋力、バランス、心肺機能。
身体を動かすことには、それぞれ違った役割があります。
ところで、最初の疑問に戻ります。
「たった1分でも意味があるの?」
調べてみて分かったのは、「1分で十分」ということではありませんでした。
でも、「1分なんて意味がない」と切り捨てるのも違うようです。
スクワットに片足立ち。
あれもこれも組み合わせようとすると……。
片足かかと上げスクワット、ってできひんって!
まぁ、できることからコツコツと。
あわせて読みたい
・何度も続かなかった運動が、なぜ続くようになったのか
コーヒーを淹れる時間のスクワットが、なぜ習慣に。私自身の試行錯誤を紹介しています。
この記事で紹介した研究・資料
Sakamoto K, et al. (1999)
Dynamic Flamingo Therapy for Prevention of Femoral Neck Osteoporosis and Fractures.
片足立ちによる股関節付近への力学的負荷と、歩行53.3分相当という計算を紹介した研究です。
論文(J-STAGE)
Sakamoto K, Nagai T, Murakami J. (2010)
Does A One-minute Unipedal-standing Balance Exercise with Eyes Open Three Times Daily Increase Bone Mineral Density? A Randomized Controlled Trial.
片足立ち運動が高齢者の骨密度に及ぼす影響を調べた研究です。
論文(J-STAGE)
Sherrington C, et al. (2019)
Exercise for preventing falls in older people living in the community.
高齢者の転倒予防に対する運動の効果を検討したコクランレビューです。
コクランレビュー(日本語)


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