ロボット教室には、ときどき微調整を繰り返して仕上げていくモデルがあります。
少し動かす。試してみる。まだうまくいかなければ、また少し調整する。
こういうチマチマした作業が苦手で、急にヤル気が落ちてしまった生徒がいました。
昔は、こんなとき、どうしていたかな。
以前のコラムを探してみると、2011年に「陽動作戦」というタイトルで、いろいろ書いています。
大阪おばちゃん作戦、発掘
当時、頭脳開発トレーニングでも、内容によって、日によって、子供たちの好き嫌いやヤル気度の上下は日常的にありました。
トレーニングの内容は一人ひとり違います。当然、得手不得手もあります。就学前の子供も多く、その日の体調や機嫌にも左右されます。
そんな子供たちへの基本的な対応について、私はこう書いていました。
「基本的には根気強く励まし、建設的な助言をし、小さな進歩を喜ぶ、の繰り返し」
これは今読んでも、それほど違和感がありません。
子供が自分で進めるよう、必要なところだけ手助けする。今なら「足場かけ(scaffolding)」という考え方とも重なるところがあります。
そして、こんなことも書いています。
「大阪オバハン作戦:子供の乗り気のなさを無視して、「あぁ、楽しそうね」「わぁ、カッコイイ」「まぁ、面白そう」「ええやん、ええやん」と笑顔で、根気強く、繰り返します。横で、明るく陽気にされると、その子はだんだんと…。」
現在なら、少し柔らかく、
大阪おばちゃん作戦。
これでいきましょう。
「乗り気のなさを無視」は、ちょっと違うかな
昔の自分に赤ペンを入れるなら、
「子供の乗り気のなさを無視して」
ここです。
今なら、「無視する」とは書きません。
子供が乗り気ではないことには気づいている。その理由もできるだけ推察する。
でも、「イヤやなぁ」の空気には一切巻き込まれず、
「あぁ、楽しそうね」
「わぁ、カッコイイ」
「まぁ、面白そう」
「ええやん、ええやん」
と、活動の楽しさへ目を向けてもらう。
そんな対応です。
今の知見では、どうなんだろう。
大人の「楽しそう」は、子供に伝わる?
教育心理学には、「教師の熱意(teacher enthusiasm)」についての研究があります。
ここでいう熱意には、表情や声、身ぶりなど、子供から見える形で表れるものも含まれます。
2022年には、9~12歳の小学生369人を対象にした実験が報告されています。
子供たちは、教師が文章を説明する映像を見ました。一方は表情や声などから高い熱意が感じられる説明、もう一方はより淡々とした説明です。
教師が熱意を示した条件では、子供たちの内発的動機づけや学習成績が高くなりました。
大人が表す「楽しそう」「面白そう」は、学ぶ子供にとって無関係ではない。
大阪おばちゃん作戦は、なかなか理にかなっていたのかもしれません。
一つの作戦でうまくいかなければ
子供が乗り気でない理由はいろいろです。
だから、いつでも大阪のおばちゃんを出動させるわけではありません。
私は、子供と担当スタッフの様子を見ながら、いろいろな対応をスタッフに提案してきました。
大阪おばちゃん作戦も、その中の一つ。
さて、大阪のおばちゃんで動かなければ……。
次の引き出しを開けてみましょうか。
「あなたは、これよ。召し上がれ」
芦屋マダム作戦。
昔の私は、まだ何やら書いております。
次回、こちらも今の研究と照らし合わせてみます。
この記事で紹介した研究・資料
Valentín A, Mateos PM, González-Tablas MM, López E.
Effects of Teacher Enthusiasm and Type of Text on the Motivation and Achievement of Schoolchildren.
Frontiers in Psychology, 2022.
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