朝の「ボー。」を始めてみた|何もしない15分と脳の意外な関係

大人に

かつての私は、極度の夜型人間でした。

朝といえば、常に時間に追われるだけ。

ベッドから起きたら、急いで身支度をして、スマートフォンでニュースやメールをチェックする。

目覚めた瞬間から、頭の中に次々と情報を入れていました。

そんな生活を続けているうちに、仕事や日々のタスクで、頭の中がいつも「渋滞」しているように感じるようになりました。

そこで、朝の過ごし方を少し変えてみました。

始めたのが、

朝の「ボー。」です。

スマートフォンを見る前に、お気に入りのお茶を淹れて、窓辺で15分ほど何もしない。

これが思いのほか気持ちいい。

今では、すっかり朝の習慣になっています。

では、この「何もしない時間」、脳ではいったい何が起こっているのでしょう。

朝から何もしない時間を作ってみた

朝起きたら、

ニュースを確認する。

メールを見る。

今日の予定を確認する。

せっかくだから本も読む。

以前は、朝の時間を有効に使うとは、できるだけ多くのことをすることだと思っていました。

でも、今は逆です。

お湯を沸かす。

お茶を淹れる。

窓辺に座る。

そして、しばらく何もしない。

外を眺めたり、今日のことをぼんやり考えたり。

本当にそれだけです。

「15分もったいないやん」

と思われるかもしれません。

でも、私には、この時間が合っていました。

何もしない時間には、脳にとって何か意味があるのだろうか?

と調べてみました。

ボーッとしているときも、脳は止まっていない

そこで出会ったのが、

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)

という言葉です。

人間の脳には、何か外部の課題に集中しているときとは違い、静かにしていたり、自分の内側へ意識が向いたりするときに活動する脳領域のネットワークがあります。

これがDMNです。

DMNは、

過去の出来事を思い出す。

自分自身について考える。

未来を想像する。

ぼんやり考え事をする。

他者について考える。

といった、さまざまな心の働きに関係しています。

つまり、

ボーッとしている=脳が何もしていない

ではないのです。

これは面白い。

私は何もしていないつもりでも、頭の中では昨日のことを思い出したり、今日やることが浮かんだり、ときには全然関係のないことを考えたりしています。

それも人間の脳の自然な働きなのでしょう。

「ボーッとすれば脳が整理される」は少し言いすぎ

DMNについて調べると、

「脳内の情報を整理する」

「記憶を整理整頓する」

といった説明を見かけることがあります。

イメージとしては分かりやすいのですが、DMNを単純な「脳のお掃除システム」と考えるのは正確ではありません。

現在の研究では、DMNは記憶や自己についての思考、未来の想像、言語や意味の処理など、かなり幅広い働きに関係すると考えられています。

一方で、「静かに休む時間」と記憶については興味深い研究があります。

何かを学習した後に、別の課題を次々とこなすのではなく、数分間静かに休む。

こうした覚醒休息(waking rest)が、新しく形成された記憶の固定を助ける可能性が報告されています。

でも、朝15分ボーッとすれば、記憶が良くなる

とまでは言えません。

でも、

何もしない時間は、必ずしも無駄ではない。

これは言えそうです。

私には「朝のボー。」が合っていた

ここは科学ではなく、私自身の実感です。

朝からニュースやメールを次々に見る生活より、お茶を飲みながら少しぼんやりする時間を作った方が、私は気持ちよく一日を始められます。

15分でストレスが消えるわけではありません。

脳がリセットされるわけでもありません。

それでも、

朝一番から何かに追われている感じが減った。

これは私にとって大きな違いでした。

そして、もう一つ良かったのが、続けやすかったことです。

習慣化のコツは、ハードルを地面まで下げる

以前、朝の時間を有効に使おうとして、

「ウォーキングもする」

「英語も勉強する」

と、いろいろ詰め込んだことがあります。

見事に続きませんでした(笑)。

でも「朝のボー。」は続いています。

理由は単純。

簡単だからです。

お茶を淹れたら、ボー。

私の場合、

お湯を沸かす → お茶を淹れる → 座る

という流れを決めています。

「さあ、今日も15分間ボーッとするぞ!」

と気合を入れる必要がありません。

いつもの行動の続きにしてしまいました。

5分でもOK

15分取れない朝もあります。

そんな日は5分でもいい。

お茶を飲んで、

「今日はこれで終了」

でもOK。

大切なのは、

15分を達成することではなく、無理なく続けられること。

「5分では効果がない」

などと考え始めたら、朝からまたノルマが一つ増えてしまいます。

それでは「朝のボー。」の意味がありません。

「何もしない」を予定に入れてみる

私たちは、

「時間を有効に使おう」

と考えると、つい予定を詰め込みます。

空いている時間があれば、何かをする。

スマートフォンを開く。

ニュースを見る。

動画を見る。

でも、ときには何も入れない時間があってもいい。

少なくとも私は、その方が快適でした。

DMNのためでもない。

記憶力アップのためでもない。

脳を若返らせるためでもない。

ただ、朝の15分くらい、何もしなくてもええやん。

そこから始めれば十分だと思います。

明日の朝、お茶でもコーヒーでも一杯淹れて、スマートフォンを触る前に少しだけ窓の外を眺めてみる。

5分で飽きたら、それで終了。

気持ちよかったら、また翌日。

そんなゆるい朝活なら、案外続くかもしれません。

Let’s ボー!

この記事を書くにあたって参考にした研究・資料

・Menon V. 20 years of the default mode network: A review and synthesis. Neuron, 2023.

・Buckner RL, DiNicola LM. The brain’s default network: updated anatomy, physiology and evolving insights. Nature Reviews Neuroscience, 2019.

・Yeshurun Y, Nguyen M, Hasson U. The default mode network: where the idiosyncratic self meets the shared social world. Nature Reviews Neuroscience, 2021.

・Wamsley EJ. Offline memory consolidation during waking rest. Nature Reviews Psychology, 2022.

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