ネットニュースを読んでいて、気になる記事を見つけました。
「ボーっとする時間」が、脳にとって大切らしい。
ほんまかいな。
私は、どちらかといえば夜型で、朝が得意な人間ではありません。
そんな私が、その記事をきっかけに、朝に少しだけ「何もしない時間」をつくってみることにしました。
時間は15分ほど。
お茶を飲む。
スマホを見ない。
何かを考えようともしない。
ただ、
ボー。
始めてみると、これが案外心地いいのです。
そこで気になりました。
この「ボー。」、脳では何が起きているのでしょう。
何もしていないようでも、脳は活動している
ボーっとしているとき、脳も休止しているのでしょうか。
実は、何もしていないように見えるときにも、脳ではさまざまな活動が続いています。
その一つとして知られているのが、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」です。
DMNは一つの場所ではなく、脳の複数の領域からなるネットワークです。
外から与えられた課題に集中しているときより、安静にしているときに活動が高まりやすく、過去の出来事を思い出したり、未来を想像したり、自分自身について考えたりするときなどにも関わっています。
つまり、ボーっとしているように見えても、脳も何もしていないのではなく、さまざまな活動をしているのです。
これを知っただけでも、「ボー。」を見る目が少し変わりました。
静かに休む時間と記憶の研究
もう一つ、私の「ボー。」に少し近い研究があります。
何かを学んだあと、すぐに別の課題に取り組むのではなく、しばらく静かに休む。
こうした状態は、研究では「wakeful rest(覚醒休息)」と呼ばれています。
2025年に発表されたシステマティックレビューとメタ解析では、37研究・63実験をまとめた結果、学習後に静かに休むことが、その後の記憶保持にプラスに働くことが示されました。
2022年のレビューでも、学習後の静かな覚醒休息が、新しく形成された記憶の定着を助ける可能性について、それまでの研究が整理されています。
なかなか面白い。
ただし、研究の中心は「何かを学習したあとに静かに休む」という条件です。私の朝15分と、そのまま同じものではありません。
それでも、何もしないで静かに過ごす時間を、単なる「無駄」と決めつけなくてもよさそうです。
なお、ここで書いている「ボー。」は、大人である私が、自分でつくっている何もしない時間の話です。
子供がぼんやりしているように見える状態には、眠気や疲れなど、さまざまな理由が考えられます。この記事の内容から、「子供がボーっとしているのは脳にいいから、そっとしておけばいい」とまでは言えませんよ。
朝いちばんに「何も入れない」時間
朝起きると、すぐスマホを見る。ニュースを読む。今日の予定を考える。
気がつけば、一日が始まったばかりなのに、次々と情報を入れています。
私の「ボー。」は、その前に15分だけ、何も入れない時間をつくることになりました。
お茶を飲む。
スマホを見ない。
何かを考えようともしない。
それで何か能力が上がった、という話ではありません。
ただ、一日の始まりに、外から情報を入れない時間がある。
それが、思っていた以上に心地よかったのです。
科学的な効果を期待して始めた「ボー。」でしたが、今では、この時間そのものが気に入っています。
「何もしない」は、本当に無駄なのか
何もしない時間というと、
「もったいない」
と思ってしまいます。
私もそうでした。
でも、何もしないように見える時間にも、脳は活動している。
条件は違いますが、学習後に静かに休む時間と記憶との関係を示す研究もあります。
そう考えると、一日のすき間を全部、情報や予定で埋める必要もないのかもしれません。
朝、お茶を飲みながら15分。
スマホを見ない。
ニュースも見ない。
何かを考えようともしない。
ボー。
何かをしていなければ、時間を無駄にしている。
以前は、どこかでそんなふうに考えていたのかもしれません。
でも今は、一日のすき間を、全部何かで埋めなくてもいいと思っています。
私には、この「何も入れない15分」がなかなか心地いい。
さて、明日の朝も、ボーっとしますか。
この記事を書くにあたって参考にした研究・資料
Weng L, Yu J, Lv Z, Yang S, Jülich ST, Lei X
Effects of wakeful rest on memory consolidation: A systematic review and meta-analysis.
Psychonomic Bulletin & Review, 2025.
→ PubMed
Wamsley EJ
Offline memory consolidation during waking rest.
Nature Reviews Psychology, 2022.
→ Nature Reviews Psychology
Smallwood J, Bernhardt BC, Leech R, Bzdok D, Jefferies E, Margulies DS
The default mode network in cognition: A topographical perspective.
Nature Reviews Neuroscience, 2021.
→ PubMed
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