ジジィの脳も、まだ変わる?|上戸彩をド忘れして考えた「大人の脳」の話

大人・シニア

自宅でテレビを観ていたときのこと。

「あれ? この人の名前、何やったっけ……?」

隣にいた妻が、あきれたように一言。

「えぇ~ぇ! 上戸彩やん!」

さすがに少しショックでした。

でも、そのとき頭に浮かんだのは、

「まあ、歳やしな」

という言葉です。

若い頃に比べれば、名前がすぐ出てこない。
覚えたつもりのことを忘れる。
「あれ」「それ」が増える。

同世代の友人と話していても、こんな話はよく出ます。

そこで、あらためて疑問が湧きました。

大人の脳は、年齢とともに衰えていくだけなの??

「歳を取ったら脳はもう変わらない」は本当?

現在の研究では、成人や高齢者でも、学習や運動などの経験に応じて、認知機能や脳の働き・構造に変化がみられることがわかっています。

このように、経験や学習に応じて脳が変化する性質を「神経可塑性」と呼びます。

つまり、

歳を取っても、経験や学習に応じて脳は変化します。

もちろん、加齢による変化はあります。それでも、年齢を重ねた脳にも、変わる余地は残っています。

ミエリンも大人になってから変化する

脳の神経線維の周囲には、「ミエリン」と呼ばれる構造があります。

電気信号が効率よく伝わるために重要な役割を持っています。

以前は、ミエリンの形成も若い時期にほぼ完成すると考えられがちでした。

しかし近年では、成人期にも経験や学習に関連してミエリンが変化する可能性が研究されています。

これは、とても興味深い話です。

ただし、まだ研究途上の分野です。

「このトレーニングでミエリンを増やせば、脳が若返る」とまで言えるわけではありません。

大人の脳にとって、運動はかなり有力

その中でも、研究が比較的多いのが運動です。

50歳以上を対象にした研究をまとめたメタ分析では、運動によって認知機能が改善する傾向が報告されています。

有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングや複数の運動を組み合わせた方法でも効果がみられています。

なぜ運動が認知機能に影響するのか。

その仕組みについては、脳への血流、神経可塑性、成長因子、炎症反応、ストレス反応など、さまざまな可能性が研究されています。

まだ一つの仕組みだけで説明できる話ではありません。

それでも、

身体を動かす習慣は、大人やシニアの脳の健康にも役立ちそうです。

身体も頭も使って暮らす

では、日常では何をすればいいのでしょう。

ここからは、研究結果そのものではなく、私自身の考えです。

特別な「脳トレ」だけにこだわる必要はないと思っています。

歩く。
筋トレをする。
知らない場所へ行く。
新しい本を読む。
料理を作る。
楽器に挑戦する。

そんなふうに、身体や頭を使いながら暮らしていく。

年齢を理由に「もう覚えられへん」「今さら無理や」と決めつける必要はないと思います。

上戸彩を忘れても、まだ終わりではない

人の名前が出てこないからといって、

「よし、脳を鍛え直さねば!」

と毎回大騒ぎする必要はありません。

年齢を重ねれば、思い出すのに少し時間がかかることもあります。

それでも、「歳だから、もう何をしても変わらない」と考える必要もなさそうです。

大人の脳にも、経験によって変わる力は残っています。

だったら、

知らないことを知る。
身体を動かす。
新しいことを試す。

その方が、人生も面白い。

上戸彩はいなくても平気。私には妻がいます。パキッ!

名前が一つ出てこなくても、それだけで「もう歳だから」と決めつけない。

身体を動かす。頭も使う。

まだ変わる余地があるのなら、使わない手はありません。

▶関連記事:「名前が出てこない」は脳の衰え?シニアの脳は何歳から変わるのか

この記事を書くにあたって参考にした研究・資料

Xin W, Chan JR
Myelin plasticity: sculpting circuits in learning and memory.
Nature Reviews Neuroscience, 2020.
→ PubMed

Brehmer Y, Kalpouzos G, Wenger E, Lövdén M
Plasticity of brain and cognition in older adults.
Psychological Research, 2014.
→ PubMed

Northey JM, Cherbuin N, Pumpa KL, et al.
Exercise interventions for cognitive function in adults older than 50: a systematic review with meta-analysis.
British Journal of Sports Medicine, 2018.
→ PubMed

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