緑に囲まれると心が穏やかになるのはなぜ?|三田・小野公園を歩いて考えたこと

大人・シニア

梅雨明けの青空に誘われるように、兵庫県三田市の小野公園へ行ってきました。

きっかけは、Facebookで見かけた友人の投稿です。

「これは行ってみたい」

そう思ったら、家から車で約1時間。すぐに出かけました。

まだまだ、フットワークは軽い(笑。

池に映る青空と、濃淡の違う緑

家内と二人で、公園の中をゆっくり歩きました。

池の水面には、青空と白い雲、そして周囲の木々が映っています。春の明るい新緑と、夏に向かって色を深めた緑。ひと口に「緑」といっても、木によって微妙に色が違います。

風が吹くと水面が少し揺れ、雲や木々の姿もゆらゆらと形を変えていきます。

何か珍しいものがあるわけではありません。

けれども、それがいい。

急ぐ必要もなく、目的地を目指す必要もなく、家内と話しながら、ただゆっくり歩く。それだけで、とても楽しい気分になりました。

海沿いを走る爽快感とは、少し違う

数日前には、海沿いを自転車で走りました。

潮風を受けながら走るのは爽快です。体を動かしているという実感があり、気持ちが外へ外へと開いていきます。

それに対して、緑に囲まれた公園を歩いた今日の気分は、少し違いました。

気持ちが高揚するというより、静かになる。頭の中にあった細かな考え事が、いつの間にか遠ざかっていく。

海が「さあ、行こう」と背中を押してくれる場所なら、森や池は「まあ、ゆっくりしなさい」と声をかけてくれる場所なのかもしれません。

自然の中を歩くと「考え過ぎ」は少なくなる?

昔、自然に癒やされることと脳の働きが関係している、という話を読んだ記憶があります。

そこで改めて調べてみると、興味深い研究が見つかりました。

2015年に発表された研究では、健康な成人を自然の中と交通量の多い市街地で、それぞれ90分歩くグループに分けて比較しています。

自然の中を歩いたグループでは、悩みや失敗などを頭の中で繰り返し考える「反芻(はんすう)」が減少しました。また、反芻との関連が研究されている脳領域、膝下部前頭前野(sgPFC)の活動を反映する血流の指標にも低下がみられました。一方、市街地を歩いたグループでは、同じ変化は確認されませんでした。PubMed

小野公園を歩いているうちに、頭の中の細かな考え事がいつの間にか遠ざかっていた――。

あの日の自分の感覚と重なるところがあって、面白い研究だと思いました。

ただ、私が緑の中へ行きたくなる理由は、「考え過ぎを減らしたい」からではありません。

私の家には小さな庭があり、住んでいる地域にも比較的緑があります。それでも、ときどき山や森へ行きたくなります。

といっても、本格的な登山をしたいわけではありません。

数時間、視界の半分以上が緑――そんな世界にすっぽり包まれたら、それで満足。

朝から出かけたのなら、お昼には街へ戻ってランチでもいい。

私には、それくらいの自然との付き合い方がちょうどいいようです。

そして、緑の中で数時間過ごすと、気分がスキッとします。

緑の中で感じる「スキッとする」にも研究がある

自然との触れ合いについて調べると、研究されているのは「反芻」だけではありません。

2021年に発表された自然環境と健康についてのレビューでは、自然との触れ合いと、認知機能、脳活動、血圧、心の健康、身体活動、睡眠などとの関係について、多くの研究が蓄積されていることが紹介されています。MDPI

さらに2026年には、自然環境の中で身体を動かす「グリーン・エクササイズ」について、51の研究をまとめた系統的レビューとメタ解析も発表されました。

自然の中で身体を動かすことは、室内や市街地での運動と比べても、心の健康やポジティブな感情などに良い変化がみられました。PubMed

こうした研究を読むと、小野公園で感じた「穏やかになった」「スキッとした」という感覚を、反芻という一つの言葉だけに押し込めなくてもよさそうです。

木々を見る。風を感じる。池の水面を眺める。そして、ゆっくり歩く。

自然の中で過ごす心地よさそのものが、いろいろな角度から研究されているのです。

ときどき、緑に包まれに行く

忙しいときほど、私たちは何かをしなければならないと思います。

運動しなければならない。
勉強しなければならない。
仕事を片づけなければならない。

けれども、ときには目的を決めず、緑の中をゆっくり歩く時間があってもよいのではないでしょうか。

近所の公園を歩くのもいい。川沿いや神社の木立を歩くのもいい。

そして、ときには少し足を延ばして、緑にすっぽり包まれてみる。

本格的な登山やアウトドアでなくても構いません。木の葉の色を眺め、風の音を聞き、自分の好きな速さで歩いてみる。

自分に合った自然との付き合い方でいいのだと思います。

小野公園からの帰り道。

何か大きなことを成し遂げたわけではありませんが、気持ちは穏やかでした。

「癒やされた」とは、こういうことなのでしょう。

もっとも、Facebookの投稿を見て、すぐに1時間運転して出かけるのですから、私の脳はまだまだ落ち着く気がないようです(笑。

まとめ

小野公園へ出かけたのは、健康のためでも、脳のためでもありません。

Facebookで写真を見て、

「ここ、行ってみたいな」

と思っただけです。

池のまわりを歩き、木々を眺め、風を感じる。数時間、緑の中で過ごしたら、それで満足。

研究を調べてみると、自然の中で過ごすことは、反芻だけでなく、気分や心の健康など、さまざまな角度から研究されていました。PubMed

だからといって、次に森へ行くとき、

「今日は反芻を減らして、ポジティブ感情を高めよう」

などと考えることは、たぶんありません(笑)。

「そろそろ、緑に包まれたいな」

それくらいで、また出かけると思います。

この記事を書くにあたって参考にした研究・資料

Bratman GN, Hamilton JP, Hahn KS, et al.
Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation.
Proceedings of the National Academy of Sciences, 2015.
→ PubMed

Jimenez MP, DeVille NV, Elliott EG, et al.
Associations between Nature Exposure and Health: A Review of the Evidence.
International Journal of Environmental Research and Public Health, 2021.
→ PubMed

Liu X, Sun Z, Wang X, et al.
Effects of green exercise on mental health: a systematic review and meta-analysis.
Frontiers in Psychology, 2026.
→ PubMed

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